2017年燕去月09日 (水)
昨日 とある人と縁を切って来た
その人は わたしの顔や性格
絵や小説のセンスを
常に褒めちぎっていた
わたしの好きな洋服のブランドやゲームに触れ
わたしの感性に近付こうとしていた
でも 正直それがとても重荷だった
Twitterのわたしのアカウントを
フォローしたいと言われたのも相当厭だった
だから もう会いたくないと言った
付き合ってもいない人に
神経をすり減らされるのは御免だと思った
凄くごねられて 最後に1日遊びたい
それからアナログで絵を描いて欲しい と言われた
チェキと漫画と文芸誌を貸していたので
返して貰う為には会わないわけには行かず
結局数時間連れ出される羽目になった
わたしは当日 白いブラウスにサロペットスカート
髪には御守り代わりの鋏の釵《かんざし》を挿して
待ち合わせの場所に行った
ファミレスかどこかに行くのかと思えば
車はどんどん山の方に向かった
助けてくれ と思った
もしかしたら急に逆上して
殺して山に埋める算段なのかもしれない
トンネルの中でわたしが青ざめているのを
その人は知らなかった
多分 自分のこととわたしのことで頭が一杯だったのだろう
車は最終的に海辺に辿り着いた
その人は切り立った岩場を登り始め
わたしにも近くに来るように言った
言われた通りにしながら また 助けてくれ と思った
火曜サスペンス劇場のBGMが脳内に延延と流れた
特に殺されるでもなく 「ずっと好きでした」 と言われた
その人は 海辺でわたしに告白したことに
陶酔していたように見えた
帰りの車の中 こんなことを言われた
「何年後かに笑い話に出来るようになったら
また会ってくれますか」
もう2度と 会うことはないと思う
わたしは踵を返し 髪を纏めていた釵を抜き取った
長い髪が闇夜に舞う
手の中のiPhoneをくるりと回し LINEの画面を開き
ブロックという文字を なんの躊躇いもなくタップした
やっと終わったという安堵から
心と足取りは軽くなり
自然とスキップをしていた
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